昨日までただの森だった場所に、見知らぬ洞窟が口を開く。使い慣れた建物の扉が、どこまでも続く迷宮へと繋がる。
なぜダンジョンが生まれるのか。どこから現れるのか。その理由を知る者はいない。
人々はいつしか、それを世界に起こるひとつの「災害」として受け入れていた。

ダンジョンへ潜り、魔物を討つ者。そこから財宝を持ち帰る者。未知を求め、その奥へ挑む者。
けれど――見習い魔法使い、エリィには、そんな世界とは縁がなかった。
彼女が使えるのは、武器を飛ばすという、少し変わった魔法だけ。
冒険者になるつもりもなければ、ダンジョンへ挑む理由もない。
今日もいつも通りの日が終わる。――はずだった。

その日。エリィが家に帰ると、自宅が、ダンジョンになっていた。

