前回は『Arcane Abyss』がどんなゲームなのかを紹介しました。

本来であれば、今回から武器や属性など、ゲームの中身をもう少し詳しく紹介していくつもりでした。

ただ、生成AIについてはXでも何かと目にする話題です。

そして『Arcane Abyss』の開発にとっても、生成AIは切り離せない存在になっています。

なのでゲームの細かい紹介へ進む前に、

自分が生成AIについてどう考えていて、実際の開発でどう付き合っているのか。

まずは一度、ここで書いておこうと思います。

これは「生成AIは良い」「生成AIは悪い」という話をしたいわけではありません。

あくまで、一人でゲームを作っている自分自身の話です。

自分にとってAIは、ゲーム開発を始めた頃からいた存在

自分は、もともとプログラマーではありません。

ゲーム開発を始めたとき、そもそもゲームを作るための知識もほとんどない状態でした。

そして最初に、

「プログラミングってどうやるの?」

というところから教えてもらった相手の一つが、生成AIでした。

コードの書き方。

変数とは何なのか。

クラスとは何なのか。

エラーが出たとき、どこを見ればいいのか。

本当に基礎的なところから、何度も質問してきました。

普通なら、

「こんな初歩的なことを何度も聞いていいのかな」

と思ってしまうようなことでも、AI相手なら気にせず何度でも聞けます。

分からなければ、

「もっと簡単に説明して」

と聞く。

それでも分からなければ、さらに聞く。

実際にコードを書いて動かしてみて、エラーが出たらまた聞く。

そうやって少しずつゲームを作れるようになっていきました。

だから自分にとって生成AIは、

途中から効率化のために導入した便利なツール、という感覚ではありません。

ゲーム開発を始めた頃からずっと横にいて、分からないことを教えてもらいながらここまで来た存在です。

今の自分のゲーム開発には、本当に欠かせないものになっています。

今は「教えてもらう」から「一緒に実装する」へ

ゲーム開発を始めた頃は、

「このコードは何をしているの?」

「どうやったらキャラクターを動かせるの?」

といった質問が中心でした。

そこから少しずつ変わっていき、今では、

「こういうシステムを作りたい」

「この仕様を既存の仕組みに組み込みたい」

という相談が多くなっています。

現在は、自分ですべてのコードを一行ずつ書いているわけではありません。

自分がゲームとしてどう動いてほしいのかを考え、その仕様をAIに伝え、実装を手伝ってもらっています。

例えば、

「ハンマーを叩きつけたら衝撃波が発生する」

という仕組みを作るとします。

アイデアだけなら一行で説明できます。

でも実際にゲームへ入れるなら、

衝撃波はどこまで届くのか。

敵が複数いたらどうなるのか。

周囲のオブジェクトはどう反応するのか。

ダメージ処理はいつ行うのか。

エフェクトはどのタイミングで出すのか。

既存の能力とぶつかった場合はどうするのか。

決めなければならないことが大量にあります。

そこをAIと相談しながら整理して、実装できる形へ落とし込んでいく。

ゲーム開発を始めた頃は「先生」のような存在でしたが、今ではかなり

一緒に開発を進める相手

に近くなっています。

でも、ゲームそのものをAIに決めてもらっているわけではない

もちろん、ゲームのアイデアを考えるときにもAIを使います。

「こういう能力はどうだろう」

「この属性ならどんなことができるだろう」

と相談することもあります。

生成AIは、候補を大量に出すことが得意です。

ただし、

その中から何を『Arcane Abyss』に入れるのかは自分で決めています。

面白そうだけど、このゲームには必要ない。

派手だけど何が起きているのか分かりにくい。

強いけれど、別の武器と役割が被っている。

説明を読むと面白そうなのに、実際に遊ぶと面白くない。

そういうものは普通にあります。

結局最後は、自分でゲームを動かして、遊んで、

「これは残したい」

「これは違う」

と判断します。

生成AIのイラストについて

そして、おそらく生成AIの中でも特に意見が分かれやすいのが、イラストだと思います。

『Arcane Abyss』でも、ゲーム中の場面やイメージを伝えるために生成AIのイラストを利用しています。

ここについても、自分の考えを書いておきます。

まず、自分としても、

人が描いた、生きた絵にかなうものはない

と思っています。

描いた人が何を感じて、何を考えて、その一枚に何を込めたのか。

そういうものまで含めた魅力は、単純に比較できるものではないと思っています。

ただ、自分は一人でゲームを作っています。

時間も足りません。

お金も足りません。

そして、自分自身の力も足りません。

プログラムを書く。

ゲームシステムを考える。

バランスを調整する。

UIを作る。

演出を作る。

音を用意する。

文章を書く。

宣伝する。

さらにゲーム内で使うすべての一枚絵まで自分で描く。

自分にはできません。

そしてもう一つ正直に言うと、ドット絵のようなピクセルアートは割と自分で打っています。

小さなUI素材や簡単なエフェクト、アイコンの一部などは、時間を見つけてコツコツと自分でドットを打って作っています。

ただ、それでもキャラクターイラストやシーン全体のビジュアルまで含めると、どうしても一人では追いつきません。

だから自分は、生成AIのイラストを、

自分が見せたいイメージを、プレイヤーへ分かりやすく伝えるための手段

として使っています。

なくてもいい。でも、あった方が分かりやすい

自分の中では、このくらいの位置づけです。

なくてもゲーム自体は成立する。

でも、

あった方が、その場面をずっと想像しやすい。

例えば、

「エリィがダンジョンの中で宝箱を見つけた」

という場面があったとします。

文字だけでも、何が起きたのかは伝わります。

でも一枚絵があれば、

どんなダンジョンなのか。

どのくらい暗い場所なのか。

宝箱がどういう場所に置かれていたのか。

エリィが警戒しているのか。

それとも見つけたことを喜んでいるのか。

そういったものまで、一目で伝えられます。

自分の頭の中には、その場面のイメージがあります。

ただ、それを文章だけで完全に共有するのは難しい。

だから一枚絵を使って、

「自分が想像しているのは、こういう場面です」

とプレイヤーに見せています。

自分にとって生成AIのイラストは、作品の中心というより、

プレイヤーの想像を補助するためのもの

という感覚です。

AIは普通に間違える

もちろん、AIは万能ではありません。

むしろ使っていると、

かなり普通に間違える

ことが分かります。

しかも、自信満々に間違えることがあります。

存在しない機能を「あります」と答える。

決めたはずの仕様を忘れる。

一部分を修正した結果、別の場所を壊す。

もっともらしいコードを書いたのに動かない。

イラストでも同じです。

ぱっと見は綺麗でも、よく見ると形がおかしい。

持っていたものが消えている。

余計なものが増えている。

左右でデザインが変わっている。

生成されたものを、そのまま信用して使えるわけではありません。

結局、

作る。

確認する。

違えば直す。

もう一度作る。

という工程は必要になります。

AIを使うほど「自分が何を作りたいのか」が重要になる

生成AIを使うようになって、逆に以前より重要になったと感じることがあります。

それは、

自分が何を作りたいのかを決めることです。

「いい感じにして」

だけでは、なかなかいいものはできません。

「攻撃を爽快にして」

だけでも足りません。

敵を倒した瞬間にどう見えてほしいのか。

武器はどう飛んでほしいのか。

画面はどのくらい揺れてほしいのか。

どういう音が鳴ってほしいのか。

プレイヤーに何を感じてほしいのか。

ここを自分で考えなければ、AIもどこへ向かえばいいのか分かりません。

AIができることが増えるほど、

「何を作るか」を決めることの重要性は、むしろ大きくなっている

と感じています。

一人では作れなかったものを作れるようになった

自分にとって生成AIの一番大きな恩恵は、

一人で作れる範囲が大きく広がったこと

です。

そもそもゲームを作るための知識すらほとんどなかった自分が、今はSteamでゲームを発売しようとしています。

もちろん、AIだけのおかげでゲームが完成するわけではありません。

何度やっても動かないこともあります。

思ったものが出てこないこともあります。

仕様そのものを何度も作り直すこともあります。

それでも、

「自分にはこの技術がないから作れない」

という壁を越える手助けをしてくれました。

もし生成AIがなかったら、今の形の『Arcane Abyss』を自分一人で作ることは、おそらくできなかったと思います。

最後に決めるのは自分

『Arcane Abyss』では、これからも生成AIを使います。

プログラムにも。

アイデアの整理にも。

イラストにも。

今の自分にとっては、もう開発に欠かせない存在です。

ただ、

何を作るのか。

何をゲームに残すのか。

何をプレイヤーに見せたいのか。

最後に決めるのは自分です。

AIに全部を任せたいわけではありません。

一人ではできなかったことをできるようにするために、その力を借りています。

ゲーム開発を始めた頃は、知識のないところからのスタートでした。

そこから少しずつできることが増えて、今では一緒にゲームを作るところまで来ました。

自分にとって生成AIとの付き合い方は、

自分の代わりに作ってもらうことではなく、自分が作れるものを増やしてもらうこと。

今は、そんなふうに考えています。

ということで、次回からはまた『Arcane Abyss』のゲーム内容について紹介していきます。